リサイクルに適した紙、適さない紙があるって本当!?
こんにちは
(株)斎藤英次商店 イノベーション推進部の谷下田です。
前回からの続きで、今回は「古紙の品質」についてお話させていただこうと思います。
そもそも「古紙の品質」とはどういったものなのでしょうか。
古紙を製紙原料として利用する上で、適している古紙、適さない古紙というものがあります。
そのヒントは、古紙を使った紙づくり工程にあります。
■ 古紙を使った紙づくり工程
・洗浄:古紙は水と化学薬品で洗浄され、インクや汚れを取り除きます。
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・パルプ化:洗浄された古紙は細かく砕かれ、水と混ぜてパルプ状にします。
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・異物の除去:パルプからプラスチックや金属などの異物を取り除きます。
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・漂白:パルプを漂白して色を整えます(必要に応じて)。
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・シート化:パルプをシート状に成形し、乾燥させて紙にします。
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仕上げ:最後に、紙を必要なサイズにカットし、製品として仕上げます。
洗浄‐パルプ化‐異物除去の工程から分かるように、古紙には既に印刷がされており、冊子等であれば糊付けや、紙以外のものが付着しています。
先ずはそれらを取り除くところから、古紙利用はスタートします。
上記の工程を考慮すると、製紙原料に適した古紙とは、パルプに近い性質、つまり、異物混入が少なく、均質で、大量にまとまって発生するものとなります。
印刷・製本所等で発生する裁落(印刷されていないもの)、新聞(チラシ以外、他の紙類や異物混入が少ない)、回収段ボール等が挙げられます。これらは、効率的に回収しやすい古紙の代表です。
では逆に、製紙原料に適さない古紙とはどういったものをいうのでしょうか。
1.汚れた紙
食べ物や飲み物の汚れが付いた紙、油やグリースが染み込んだ紙などは再利用が困難です。
これらの汚れは製紙工程での処理が難しく、品質の低下を招く可能性があります。
2.コーティングされた紙
ワックスやプラスチック、ラミネートが施された紙(例えば、テトラパックや紙コップ)は、
繊維が取り出しにくいため、製紙に不適です。
3.耐久性の高い紙
感熱紙(レシート紙)や防水加工が施された紙などは、繊維が非常に短く、再生し辛いです。
また、特殊な化学物質が含まれていることも多く、再生プロセスで問題を引き起こす可能性があります。
4.印刷インクが多量に含まれた紙
鮮やかな色を出すために特殊なインクが使われた紙など(雑誌、カタログ)は、リサイクルプロセスでうまく処理できないことが多く、結果的に古紙の品質を低下させる要因となります。
5.金属やその他の異物が混入した紙
金属箔が付いている紙や、サンプル(布、試供品など)が紙に混ざるとリサイクルプロセスでの処理が困難です。
これらの製紙原料に適さない古紙は、リサイクルには向かず、適切に処分するか、他のリサイクル方法を考える必要があります。
集団回収や行政回収によって各家庭から回収される紙類には、段ボール・新聞・雑誌・雑がみの4種類がありますが、
製紙原料に適さない古紙は特に、”雑誌”や”雑がみ”に混入することが多いです。
それは、雑誌自体の多様性に加え、種々雑多な紙類が日常にあふれていることに起因しています。
これらが、回収古紙の品質悪化を招く主な原因となっているのです。
それならば、”雑誌”や”雑がみ”古紙の利用をやめたら、品質悪化を防げるのでは!?と思いませんか・・・
”そうは問屋が卸さない”理由があるのです・・・!
次回は【雑誌・雑がみリサイクルの重要性「未利用古紙」も利用しよう!】をお送りします。
■ 今日のまとめ ■
「製紙原料に適している古紙」・・・異物混入が少なく、均質で、大量にまとまって発生する。パルプに近い性質を有している紙
「製紙原料に適さない古紙」・・・汚れや紙以外のものが付着している紙、特殊なインク・コーティングが施されている紙
出典:公益財団法人 古紙再生促進センター 古紙の品質をまもるために p48
http://www.prpc.or.jp/wp-content/uploads/To_protect_the_quality_Recovered_paper.pdf/
前回の記事はこちら↓
【リサイクルの危機!?回収古紙の品質が悪化しています】