リサイクルの危機!?回収古紙の品質が悪化しています。
こんにちは
(株)斎藤英次商店 イノベーション推進部の谷下田です。
近年、SDGsの重要性が叫ばれているなか、
社会全体で様々な取り組みがされているのを頻繁に目にします。
なかでも「リサイクル」については、小学生の頃から勉強し、普段の暮らしの中でも当たり前のように取り組んでいる方がほとんどではないでしょうか。
今回は、皆さんにとって一番身近な「リサイクル」であり、その中のひとつ「古紙」について深堀りしていこうと思います。
■ 古紙とは・・
一度使用された後に再利用される紙。具体的には、新聞、雑誌、コピー用紙、段ボールなどが含まれます。古紙はリサイクルされることで、新しい紙製品として再生され、資源の有効活用や環境保護に貢献します。古紙のリサイクルには、回収、分別、再生といったプロセスがあり、これにより廃棄物の削減や森林資源の保護が実現されます。
■ 古紙回収の状況
2024年の日本の古紙回収率は約79.5%で、古紙利用率は約66.3%と高く、リサイクルの重要性が強調されています。
日本の古紙回収率が高い主な理由は3つ。
・効率的なインフラ整備
・家庭や企業での分別回収の徹底
・ひとりひとりのリサイクル意識の高さ
これらが、世界でもトップクラスの古紙回収システムを生み出し、高い回収率を維持しています。
現在、日本の古紙回収量は古紙の国内消費量を上回り、日本の古紙の約20%が海外へ輸出され、世界の紙リサイクルを支えるようになっています。
こうしたなかで、近年、日本の古紙の品質悪化が問題視されています。
古紙の品質悪化は、異物の混入、紙の種類の多様化、印刷技術の進化、古紙の保存状態、そして回収・分別の不適切さが主な原因だと言われています。
■ 古紙の品質が悪化する5つの理由・・・
1. 混入異物の増加
リサイクルプロセス中にプラスチック、金属、ガラスなどの異物が古紙に混入することが増えています。これらの異物はリサイクル工程で取り除くのが難しく、最終的な再生紙の品質に大きな影響を与えます。特に、プラスチックの混入は再生紙の強度や見た目に悪影響を及ぼします。
2. 紙の種類の多様化
最近では、特殊なコーティングやインクを使用した紙が多くなっています。例えば、防水コーティングが施された紙や、鮮やかな色を出すために特殊なインクが使われた紙などです。これらの紙はリサイクルプロセスでうまく処理できないことが多く、結果的に古紙の品質を低下させる要因となります。
3. 印刷技術の進化
印刷技術の進化により、使用されるインクやトナーが高性能化しています。しかし、これにより紙からインクやトナーを完全に除去することが難しくなっているため、リサイクルされた紙の品質が低下することがあります。特に、インクが紙の繊維に深く染み込むと、除去が難しくなります。
4. 古紙の保存状態
古紙の保存状態も品質に大きく影響します。湿気を含んだり、汚れた古紙は、リサイクル工程でのパルプ化において品質が低下します。特に湿気は紙の繊維を弱め、再生紙の強度を損なう原因となります。また、汚れた紙はリサイクル過程での処理が難しく、最終製品の品質にも悪影響を及ぼします。
5. 収集・分別の不適切さ
古紙の収集と分別が適切に行われない場合、異なる種類の紙が混在し、リサイクルされた製品の品質に影響を与えます。例えば、新聞紙と段ボールが混ざると、それぞれの再生紙の用途に応じた品質を維持することが難しくなります。適切な分別が行われないと、リサイクル効率も低下し、全体的な品質も悪化します。
これらの問題を解決するためには、リサイクルプロセスの改善や、古紙の適切な収集・分別が重要です。
持続可能な社会を目指すために、私たち一人ひとりができることを考え、実行していくことが求められています。
これらのポイントを意識したリサイクルを心掛けるだけで、古紙の品質向上に大きく貢献することになります。
次回は【リサイクルに適した紙、適さない紙があるって本当!?】をお送りします。
出典:公益財団法人 古紙再生促進センター 古紙の品質をまもるために p48
http://www.prpc.or.jp/wp-content/uploads/To_protect_the_quality_Recovered_paper.pdf/
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【リサイクルに適した紙、適さない紙があるって本当!?】